依存症治療に用いられる薬物療法

依存症の治療では心理療法が主体となりますが、補助として薬物療法が行われる場合もあります。薬物療法のみでの治療は推奨されていません。

アルコール依存症の治療では以下のような薬が使われます:

  1. 不快な離脱症状を軽減する薬[例:ベンゾジアゼピン系薬物など]
  2. 抗酒薬(アルコールを摂取した時に不快反応を引き起こす薬)[例:ジスルフィラム、シアナマイド]
  3. 断酒補助薬[例:アカンプロサート]
  4. 飲酒量低減薬[例:ナルメフェン]

薬物依存症の治療では、乱用薬物の影響で生じた幻覚や妄想、睡眠障害の治療に対して薬物療法を行うことがあり、一定の効果が認められています。しかし、「薬物をやめられない、止まらない」という薬物依存症の本質的な病態そのものに対する薬物療法については、少なくともわが国ではほとんど実施されていません。覚せい剤依存症に対する薬物療法については現在研究が進められています。

ギャンブル障害ゲーム障害の治療に有効な薬については現在研究が進められています。

宮田久嗣、高田孝二、池田和隆、廣中直行(編)(2019) アディクションサイエンス、朝倉書店