薬物依存症の治療を行うにあたって

  • 非合法的薬物を使用しているケースでは断薬が治療目標となりますが、処方薬に依存している場合は減薬や依存性の少ない処方薬への移行が治療目標となりえます。
    • 治療目標は患者さんご本人と担当医療者が話し合い、双方が納得した目標を設定しましょう。
    • 治療目標は断薬・減薬だけにとどまらず、それによってもたらされる心身の健康や人間関係などQOLの改善も含まれます。
  • 治療開始時に使用していた薬物によっては入院し、医療者の管理のもと解毒治療を行うことが安全な場合があります。
  • アルコールやギャンブル依存症など他の依存症も併発している可能性があるため、アセスメントも行いましょう。
  • 長期に渡る薬物使用による健康問題(呼吸器系疾患、心疾患、感染症、歯科疾患など)のスクリーニングが推奨されます。
  • 離脱症状が治まった後には、認知機能の低下、うつ、不安、心的外傷後ストレス障害など他の精神疾患及びADHDなどの発達障害のスクリーニングが推奨されます。

新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン作成委員会、
新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン(2018)新興医学出版社
United Nations Office of Drug and Crime (2019)
Treatment of Stimulant Use Disorders: Current Practices and Promising Perspectives.