ギャンブル依存症に対する薬物療法の研究状況
ギャンブル依存症(ギャンブル障害)には、治療薬として正式に認可された薬はありません。しかし、抗うつ薬、オピオイド拮抗薬、グルタミン酸作動薬、気分安定薬といった薬の有効性を検討した研究が医学論文として公表されています。抗うつ薬の中では、パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリンなどの有効性が検討されましたが、ギャンブル依存症に対する効果を認める結果と否定する結果の両方があって一致していません。オピオイド拮抗薬では、ナルトレキソンやナルメフェンの有効性が検討されていますが、どちらもギャンブルへの欲求を減弱させて、ギャンブル行為を減らす効果が示されていて、最も有望と考えられていますが、あくまでも研究段階のため、近い将来使えるようになるというものではありません。その他、リチウム、トピラマート、オランザピンなどの効果が検証されていますが、研究の数も少なく、もっと研究が必要な段階です。
参考文献:
松下幸生(2018) ギャンブル障害 現状とその対応 精神医学 60;161-172