家族が心配
大切な人(親・兄弟姉妹・配偶者・子供)のお酒の飲み方で困っていませんか?
たとえばその人には以下のような問題があるかもしれません。
- 最近、主治医からお酒をやめるように言われたが毎日飲んでいる。
- 以前は平日の夜しか飲んでいなかったのに最近、休日は朝から飲んでいる。
- 職場から一度アルコール依存症の専門病院の診察を勧められたが受診しない。
- 飲み過ぎた翌日には職場を休むことが少し多くなっている。
- お酒のことを心配して注意をしたら隠れて飲んでいる気配がするが本人は飲んでないと言っている。
また本人が飲酒の話を避けて不機嫌になるので「しばらく様子を見よう」「言っても聞かないので仕方が無い」と心配しているけど、どうしていいのかわからずにいるかもしれません。飲酒そのものは社会の中では人とのつきあいや楽しい時間をもたらしてくれるものですが、お酒のよい面だけが取り上げられるために家族は相談しにくいことがあります。
しかし飲酒が原因で起こるアルコール依存症は進行性の病気です。飲み続けることでこころと身体の両面に色々な問題が少しずつ起こります。たとえば慢性の肝障害や膵炎、消化器系の癌などの内科疾患の発症などがあります。一番の特徴として飲酒に対するコントロールができなくなるため、本人が一杯飲むと飲酒欲求が起こり「今日は一杯だけ」と思っても飲み続けてしまうことです。また「否認の病気」ともいわれ本人が自分の飲酒問題を認めずに周囲に対して頑固に医療を拒否することも特徴の一つです。そのために多くの家族は「本人が自覚しないから仕方が無い」とあきらめてしまいます。家族はまず本人をなんとかしなくては、と考える前にまずご自身の不安や気になることを精神保健福祉センターや専門病院での専門相談で話してみることをお勧めします。専門相談では飲酒の病気に関する知識、ご本人への接し方や飲酒問題への対処方法を学ぶことができます。一人で悩まずにまず相談を受けることで飲酒問題に対応する力をつけましょう。
参考文献:
*アルコール問題全国市民協会編「アルコールで悩むあなたへ」,1986年亜紀書房
*山本由紀・長坂和則「対人援助者のためのアディクションアプローチ」,2015年中央法規