同僚・友人が心配

身近な人(友人、同僚、部下など)のお酒の飲み方が気になりますか?
たとえばその人が友人だった場合は、以下のようなことが気になるかもしれません。

  • 普段はいい人なのに酔うと人柄が変わる。
  • 飲み出すと必ず深酒になる。
  • 酔って人に迷惑をかけたことを覚えていない。
  • 一緒に飲みに行くとはしご酒になり、帰宅できたのか心配になる。
  • 酔った勢いで電話をしてくる。

その人が職場の同僚や部下の場合には・・・

  • 酒好きの人ではあったが、最近は具合の悪そうな顔つきで出勤し、時々酒臭がする時がある。
  • 職場の健康診断では必ず再検査となるが、本人は全く気にしていない」「具合の悪さを心配すると、不機嫌な態度になる。
  • 突然に休んでしまい、しばらくして出勤するがまた休みはじめる。
  • 産業医から飲酒習慣の見直しや、専門病院の受診を勧められても同意しない。

飲酒によって社会的なつながりを作り、楽しい時間をともに過ごしてきたので、あなたが気になっても、どうしていいのかわからないかもしれません。相手を傷つけることになるとか、飲み方は個人の問題だから仕方が無い、と思っているかもしれません。しかし、その人のことであなたが後始末をしたり、不愉快な思いを経験しているならば、思い切って専門相談を受けることをおすすめします。

飲酒が原因で起こるアルコール依存症は進行性の病気です。飲み続けることで、こころと身体の両面に色々な問題が少しずつ起こります。一番の特徴として飲酒に対するコントロールができなくなるため、本人が一杯飲むと飲酒欲求が起こり「今日は一杯だけ」、と思っても飲み続けてしまうことです。また「否認の病気」ともいわれ、本人が自分の飲酒問題を認めずに周囲に対して頑固に医療を拒否することも特徴の一つです。そのために周囲の人たちは、「本人が自覚しないから仕方が無い」「意志の弱い人なのだから」、とあきらめてしまいます。

「本人の性格や意志の問題」とする前にまず、ご自身の不安や気になることを精神保健福祉センターや、専門病院での専門相談で話してみることをお勧めします。専門相談では飲酒の病気に関する知識、ご本人への接し方や飲酒問題への対処方法を学ぶことができます。

一人で悩まずにまず、相談を受けることで飲酒問題に対応する力をつけましょう。

参考文献:

*アルコール問題全国市民協会編「アルコールで悩むあなたへ」,1986年亜紀書房

*山本由紀・長坂和則「対人援助者のためのアディクションアプローチ」,2015年中央法規